今回は、知っているようで意外に知らない、でも今さら聞けない、飲食業界の基本、経営用語を特集してみました。
1.飲食店経営の基本”QSC”   
飲食店経営の基本ともなっている3原則QSCといえば
Q(Quality)=品質管理(商品、味、素材、メニューなど)
S(Service)=サービス、接客マナー、お客をもてなす気持ち
C(Cleanliness)=クレンリネス(清潔さ、衛生度)

です。

アメリカでは、QSCなくしてはチェーンレストランの成功はありえなかったといわれるほどの基本ですが、もちろんファストフード店やチェーン店だけでなく、日本食レストランにもあてはまるといえます。
 QSCのレベルアップは、お店の立地条件や特色に合わせて実践する必要があります。そのためにまず考えなくてはならないことは、顧客の「来店動機」と「期待感」です。
 例えば、お店がビジネス街に立地している場合。当然ながらランチが勝負で、昼はビジネスマンが多いはずです。彼らは「価格に見合った質と量」「速さ」を期待して来店します。ビジネスマンがランチにかける費用が6ドルから8ドルと考えると、この金額内で選べるメニューが日替わりで豊富なことが、要求されます。またランチ時間は30分から1時間、その中には店までの移動時間も含まれているため、料理提供時間は重要になってきます。長いこと待たされて、席についてもなかなか注文を取りに来てくれないといったことでは、いくら料理がおいしくても「あの店は遅いからランチには行けない」といったことになってしまうのです。つまりこの店は、Q(ランチ・メニューのお得感と選択肢)、そしてS(提供時間の早さ)を注意したオペレーションをすれば、QSCのレベルアップにつながり「付加価値」(お客様にとっての価値)を高めることになります。
 日本人の経営者には「うちは味で勝負しているのだから味さえ良ければ客は来る」という勘違いをしている人が多いように見受けられます。「汚い店でもサービスが悪い店でも安くて味さえ良ければよい」というのは日本人的発想です。アメリカ人は、外食をする際に、味だけではなく、雰囲気を重要視します。特に、日本食などエスニック料理を食べに来るのは、日常を忘れ知人や家族と楽しいひとときを味わいたいという利用動機が大きいのです。料理の質は当たり前で、その他にサービスが良く、店内が綺麗であるといったQSCの3拍子が揃うことで付加価値が高まり、リピーターにつながるのです。
 QSCが機能しているかどうかをチェックするためには、基準(スタンダード)作りが必要となってきます。例えばC(クレリンネス)であれば、汚れがたまらないように毎日清掃をするということは当たり前ですが、それをマニュアル化(誰もができる)及びスケジュール化(業務の一貫にする)して従業員にルーティンとして徹底することが必要でしょう。よく店のトイレに清掃スケジュールが貼ってありますが、あれなどスケジュール化の例でしょう。クレリンネスは、サービスやクオリティと異なり直接売上に影響をしないように考えられがちです。しかし、建物の様子や、店の入り口に掲げられた保健局のABCの看板(ロサンゼルス郡)など、クレリンネスが店に入るときの判断基準になる場合も多く、またクレリンネスの改善は比較的簡単にできますから、是非注意していただきたいものです。


 
 
2.赤字のバロメーター“平方あたりの売上高(Sales PSF) ”   
レストランがお金を生み出しているか否かを調べる最も簡単な方法は、Sales per Square Feet(平方フィートあたりの売り上げ)を見ることです。年間総売上を店舗面積(トイレ、倉庫、廊下も含めた全体)で割った数字がそれです。以下、米レストラン業界の基準を参考にしてみましょう。ちなみに中(モデレート)利益とは、NIBT(Net Income Before Tax/税引前利益)が、売上高の5%〜10%、高(ハイ)利益は10%以上と考えてよいと思います。

Square Foot Quick Reference Tabel
  Full Service Limited Service
In the Red (赤字) $150 $175
Break-Even (損益分岐点) $150-$200 $250-$350
Moderate Profit (中利益) $299-$325 $250-$350
High Profit (高利益) over $325 over 350
Full Service:テーブルサービスあり
Limited Service:ファストフード形式 (注文して自分で運ぶ)
出典:National Restaurant Association

例えば今ここに年間売り上げが40万ドルの店があるとしましょう。店舗面積が3000平方フィートであれば、平方フィートあたりの売り上げは133ドルになります。表を見る限り、赤字経営のようです。とはいえこの平方フィート早見表は、あくまでも基準であり、絶対的な指標ではありません。店のサイズや地域など様々な要因が関係し、若干の調整が必要になってきます。例えば、マンハッタンのように家賃が平方あたり60ドル以上と異常に高い場合。マンハッタンの店の売り上げ高は、業界平均よりかなり低くなってしまいます。
 しかし時として、フィートあたりの売り上げはそこそこ良いのに、同じような売り上げの店に比べて利益が少ない場合があります。いったい何が、問題なのでしょう?それを知るために必要になってくるのが次のP/L STATEMENT(損益計算書)です。(次号に続く)

 
 
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